2020/04/03

マーケティング入門 ペルソナとは? ペルソナってなぜ必要なの?どうやって作るの?(前編)

 

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 マーケティング活動におけるブランディングや各種プロモーション施策を進めていく上で、自社の商品やサービスをどのように消費者に伝え、どのように魅力的に見せ、購入に至ってもらうか。これを実行していく過程でよく用いられる手法に、「ペルソナ」というものがあります。私たちは、この「ペルソナ」を設計し、それをマーケティングプロセスに組み込むための支援をしています。
 このペルソナとは一体何で、どういうものなのか。そしてペルソナはどうやって作り、活用されるものなのか。前編では、ペルソナって何?に関する解説を、後編ではいくつかの例を交えてそれぞれ説明していきたいと思います。
 

ペルソナとは、「みんなで観察する理想の人物像」

 ペルソナが登場したのは、1990年代です。アラン・クーパーという人物がソフトウェアにおけるデザイン(設計)を考えるための手法として、具体的なユーザー体験をイメージできる人物像を考案したことに由来します。たくさんの関係者が同じようにユーザーの行動をイメージし、理解し、検討するためには、具体的なユーザーを作り上げる必要がありました。多くの人の共通認識を作り上げるためのこのペルソナは、関係者が観察することが出来る理想の人物像、と言えます。徹底的なユーザー理解の考え方が、マーケティングにおけるターゲット分析にも応用されています。
 

なぜペルソナが必要なのか?

 では、ペルソナが必要なのはなぜでしょうか。ペルソナが利用される理由は大きく二つあります。
 一つ目は、生活者が求める本質的な価値を探索することができることが挙げられます。いま、生活者を理解するためには、購入・消費の裏にあるコト、つまり生活者が本当に実現したい目的を理解し、その実現にどう貢献できるかを考えることが重要になっています。そのためには、商品やサービスと生活者の関係を購入までに留めず、購入後に生活者が体験するであろう行動まで視野を広げて観察できる手法が求められています。ペルソナはもともとユーザー体験を把握するためのモデルで、こうした生活者の環境や行動を深く理解し、インサイト(洞察)を発見することで、新たな価値のヒントを手繰り寄せる手法です。そのため、商品開発からマーケティング施策の設計・実行まで、幅広くターゲットを理解するプロセスで活用することができます。
 
 二つ目は、共有しやすく、共通理解を得やすいため、部門をまたいでも認識齟齬が起きにくいことが挙げられます。ペルソナとは、いわば最も注目すべき観察対象です。メンバーみんなで同じ人の行動や考え方について考えることが出来る状況を仮想的に作り上げることができれば、個々の認識のずれを抑えられます。商品やサービスの優先的な機能やデザインを選択する際や、コンセプト、ストーリー、施策の検討に至るまで、様々な局面でメンバー間の認識を共通化したり、伝達する際の齟齬を防ぐための力を発揮します。
 

ペルソナ構築の進め方

 ペルソナを構築する大まかな手順としては以下のように進めます。
1. 現状を確認する
2. 情報を収集する
3. 集めた情報を整理・分析する
4. 人物像についての考察を行う
5. 人物像の具体的な言語化・イメージ構築を行う
6. ペルソナを調整する
 
 
1.現状を確認する
 社内の情報を確認します。どのような情報があるかを確認した上で、ない情報を集める準備を進めます。この時点でチームや関係者間でターゲットイメージがどの程度共通しているか、異なっているかの確認を行うのも良いと思います。
 
2.情報を収集する
 情報を集めます。一般的には生活者への定量調査や定性調査を行いますが、どのような情報が必要か、ペルソナを作るための調査にはどのような設計が必要かといった点は社内で足らない情報、必要な情報をもとに、どのような問いを生活者に行うべきかを考えて設計し、調査を行います。
 
3. 集めた情報を整理・分析する
 集めた情報は、集計したり、レポートにまとめた後に、調査の要諦を共有することが重要です。またその上で、この結果が何を意味するのか、ペルソナを構築する上で結果をどのように解釈すれば良いかを考えながら、分析の工程を進めていきます。
ゴールは調査レポートを読むことではありません。
 
4.人物像についての考察を行う
 調査結果をさらに深く理解し、ペルソナに落とし込むために、分析された結果やサマリーをもとに、どのようなターゲットを具体化すべきかをディスカッションやワークショップなどの会議体を活用して、ペルソナのベースとなる人物像について、合意形成を行います。
 
5. 人物像の具体的な言語化・イメージ構築を行う
 ペルソナの具体像を構築します。基本属性から考え方・価値観、生活スタイルや行動パターンなどに至るまで、分析結果の情報や考察された意見をもとに可能な限り具体的に言語化します。ビジュアルイメージも必要に応じて活用します(弊社では基本的に使用します)。
 
6.ペルソナを調整する
 ある程度形にできたら、再度ディスカッションを行うなどしてペルソナの共通理解度を高めます。具体的には齟齬の出る部分を修正したり、個々の認識を擦り合わせるなどして、ペルソナの完成度を高めます(必要に応じて繰り返します)。
 
 
 弊社の場合は上記のような進め方を、各手順で進行をサポートさせていただきながら、ペルソナ構築を進めていきます。どの工程から進めても、あるいはすべての工程を実施する場合でも、ペルソナ構築自体を何のために行うのかを確かめた上で、ご提案を行います。
 具体的なプロセスは省略しておりますので、より詳細を知りたい場合は、お問い合わせください。
 
 さて、後編では、情報整理の一例を簡単に紹介しながら、ペルソナの作り方で気を付けていきたいところをご紹介したいと思います。