暑さがようやく落ち着きをみせ、朝夕の冷え込みが厳しくなってきました。秋といえば、「スポーツの秋」「文化の秋」「読書の秋」「食欲の秋」とさまざまな楽しみがありますが、皆さんはどんな秋を過ごしていますか。日中は過ごしやすい気候となり、全国各地でさまざまなイベントや行事が開催されています。
“推し”とファンの理想的な関係性
推し活市場が活況を呈しています。朝日新聞の記事によれば、2023年の市場規模は8000億円を超え、最近では新たな担い手として中高年男性が台頭してきているそうです。
「推し活」という言葉は2021年の新語・流行語大賞にノミネートされて以来、広く社会に浸透しています。当初はアイドルグループの中の一推しメンバーを意味する用語だった「推し」の対象も、今ではミュージシャンや俳優、スポーツ選手、アニメやゲームのキャラクター、お店や建築物、乗り物といった具合に多様化してきています。メンバーごとの推しカラーを身に付けたり、推しグッズを購入したりするだけでなく、ライブやコンサート、ファン・ミーティングや関連スポットへの訪問など、豊富な活動量も見逃せません。
そのような流れも受けて「ファンマーケティング」を重視する企業が、ますます増えています。ファンが興味を持つ魅力的なコンテンツを提供し、WebやSNSを駆使してコミュニケーションを図り、イベント開催で直接交流をして、ファンの意見やフィードバックを取り入れ製品・サービスの開発やコミュニケーションに反映する。企業はこれらの取り組みで顧客との絆を深め、結果的に売上やブランド価値の向上を目指します。
応援する側の主体的な活動としての「推し活」と、応援される側の企業の「ファンマーケティング」。そこで重要なのは「ファンのエンゲージメント」です。愛着や信頼感といった感情的なつながり、イベントやキャンペーンなどへの積極的な参加と発信、双方向の対話、ミッションや価値観への共感や支持…。応援される側は、応援してくれる人一人ひとりに目を向けながら、まずはファンとして育てることが大事であることは言うまでもありません。一方でファンは、自分の応援が「推し」の成長や価値向上につながるのを実感しながら、「やりがい」や「自己肯定感」が高まり、毎日が楽しくなる。両者がお互いの価値向上に貢献し合う、理想的な関係性の一つだと思います。
当社では、ファンマーケティングを支援するさまざまなサービスを提供しており、このWebサイト上でも、エンターテインメント業界やプロスポーツ事業向けソリューション(※)として、そのいくつかを紹介しています。例えば、ファンクラブの運営支援やイベント支援をはじめ、デジタルマーケティングやEC物販とそれに関わるロジスティクスの支援まで。これらが連動して運営管理できるため、情報管理に関する業務の負担軽減や機能の効率化が図れます。また、マンガ家の発掘・育成を行うグループ会社のDREAM SYNERGY(ドリームシナジー)との連携により、アニメやキャラクター使ったコンテンツ制作なども可能です。
今、そのようなサービスをご提供しながら思うのは、ファンと企業のみならず、それに加えて地域の活性化にも貢献できたら…ということです。例えば、スポーツチームのファンマーケティングを支援しながら、チームの本拠地とも深く結びつき、地域の人たちのコミュニティ化や地域経済の活性化にも貢献したい。ファンマーケティングで培ったノウハウを、地域のイベントや資源を起点とした形で地域活性化に役立てられないか。そのような役割を担うためには、どうしたらよいかについても考えています。
社員のエンゲージメントをいかに高めるか
ところで当社では、事業コンセプトの一つに「エンゲージメントマーケティング」を据えて、クライアント企業のマーケティング活動における伴走支援を行っています。また従来、「エンゲージメント」は会社の従業員に対しても使われるコンセプトです。従業員のエンゲージメントが高いということは、職場環境や労働条件に満足し、仕事に意欲や情熱を持っている状態といえます。
先述のファンと「推し」の関係ではありませんが、社員が主体的・積極的に活動したくなるように、いろいろなアプローチを会社側は用意して提供していくことが重要です。特に当社では、新卒入社の若手社員がもっとやりがいをもって積極的に取り組める環境を作っていかなければならないと考えているところです。その能力を引き出して結果が出れば、会社の価値が高まりますし、社員の自己肯定感も高まり、毎日楽しく働けるようになるでしょう。社員と会社が双方の価値向上に貢献する関係性を築けている状態が理想です。
そのためには、まずは会社が入社歴の浅い社員にしっかりと目を向けて、育成していくことが大事です。企業の価値を創造するのは、社員一人ひとりです。どうやったら「エンゲージメントが高まる」状態となるのか。考える風土をつくっていきます。
代表取締役社長 金田 浩邦