株式会社コプロシステム

2024.08.23 | 役員ブログ マーケティングで変わっていくものと変わらないもの

はじめまして。当社でマーケティングを担当している塚野です。
このブログでは当社のマーケティングに対しての考え方や取り組みについて、徒然なるままにお伝えしていこうと思いますので、宜しくお願いいたします。

変化の時代にマーケティングで成果を上げるために

さて、「VUCA(ブーカ)」という言葉がビジネスシーンで使われ始めて10年近く経ちますが、その状況はますます進んでいるように感じます。

※「VUCA」とは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた言葉で、予測が難しく変化が激しい社会や経済情勢を表します。

その状況はマーケティングにおいても同様で、まさに「正解のない時代」ど真ん中といった感じです。そこで今回は、目まぐるしく変わるマーケティング環境の中で、「何が変わっていくのか」そして「何か変わらないのか」を改めて整理してみます。それを見極めることで、目の前の変化に翻弄されずにしっかりと成果を出すことが出来るのではないでしょうか。

そもそもマーケティングとは、とても単純化して言えば企業が「誰に、何を、どのように」提供するかの作戦を立てて実行する取り組みに他なりません。ですので、この3つの要素とこれまでの時代の変化を重ね合わせて整理することで、今後を見通してみたいと思います。

まず時代の変化として、古くはインターネットの普及やスマートフォンやSNSの登場、さらに直近では生成AIの発展など、テクノロジーの急速な進化により人々のライフスタイルが変化したことが大きなインパクトになっていますね。

具体的には、インターネットにより生活者がアクセスする情報量は爆発的に増え、企業と生活者との接点(顧客接点)は多様化・複雑化しました。そしてその結果として企業が得られる顧客に関する情報も飛躍的に増え、その解析技術も進んでいます。さらにSNSの登場により生活者の発信力が増し、企業との関係性も一方的に情報提供を受けるところから双方向の対話を重視したコミュニケーションに変化しています。

そのような過程を観察すると、マーケティングにおいて大きく変化したのはコミュニケーションを中心とした「どのように」提供するか=届ける手段の部分だと言えそうです。特にデジタルマーケティングの領域では、ターゲットのあらゆる行動がデータ化されているため、PDCAサイクルを高速に回して施策を改善する活動が当たり前になっています。

現在、「どのように」=届ける手段としての施策は日々新たに編み出され、試され、分析され、ブラッシュアップされています。そしてChatGPTをはじめとする近年の生成AIの登場によりあらゆるマーケティング工程が効率化され、そのPDCAサイクルは急加速している真っ最中です。

一方で、「誰に、何を」をしっかり捉える部分=顧客理解についての取組の本質はあまり大きな変化を見せていません。SNSやGISのデータ活用など具体的な手法こそデジタルを活用した複雑なものも登場していますが、「顧客をしっかりと理解し、そこから得られた深い洞察を基に提供すべき価値を創り出す」という基本的な活動は変わっていないのではないでしょうか。

そしてこの「誰に、何を」=顧客理解と商品の提供価値の設定こそ、マーケティング活動の出発点であり、最も重要な部分に他なりません。

顧客理解と提供価値の掘り下げこそがマーケティングの推進力

ところが、残念なことに(と私は思いますが)、デジタルマーケティングの現場では顧客理解と提供価値をしっかりと掴まずに施策運用している状況をしばしば見かけます。データ(数値)の変化・増減のみを見て施策を調整し、さらにそのフィードバックからどのように修正するかを数値的に判断し実行するというサイクルで、そこには前提となる顧客は存在せず、商品の提供価値もありません。

現実的な問題として、そのようなマーケティング運用でも短期的には成果を上げることは出来てしまいますが、例えて言うと「データを見るとターゲットはイチゴに反応している。だからいつも提供しているケーキにイチゴを載せよう」というようなアクションを起こすようなものです。それでは表面的な施策になりがちで、現代のマーケティングに必要な顧客との本質的なつながりを作るのはとても難しくなってしまいます。

一方で、本当に成果を出せるマーケティングのあるべき姿とは「ターゲットとなる人たちはなぜイチゴが好きなのか?どのようなイチゴが好きなのか?イチゴ以外に好きなものはないのか?」など様々な角度から検証し、事実(Fact)から洞察(Insight)を導き、それを新たな提供価値につなげる活動です。そのような本質的な取り組みおよび検討の結果によってはイチゴジュースにした方がいいかもしれませんし、イチゴよりもサクランボのほうが受容度が高いかもしれません。

深い洞察(Insight)を基にしたマーケティング活動を行うことで、取り組みに「うねり」や「グルーヴ感」を生み出し、そこで初めて顧客との深いつながりを構築することが出来るのではないかと思っています。

今後、マーケティングの「どのように」の部分はテクノロジーの進化や時代の変化に合わせて変わり続けるでしょう。一方で顧客理解、ひいては人間理解を基にした「誰に、何を」の部分は不変であると思います。人間の本質的な部分はちょっとやそっとでは変わりませんから。

AIが感情を持ち始め、「人間とは?」という問いが真剣に議論されるようになると状況は変わってくるかもしれませんが、それはまだ近い未来に起こる出来事ではないでしょう。

そして当社が掲げる『エンゲージメントマーケティング』はその「つながり」を創り出し、最適化することをコンセプトとしたマーケティング支援サービスです。

各クライアント企業の事業方針をマーケティング戦略の起点として「誰に、何を」を徹底的に掘り下げるところから始め、如何にマーケティングで成果を上げるか戦略・戦術レベルで伴走しながら実行支援いたします。

各企業により状況は様々ですので、原則としてのマーケティング哲学は持ちつつ柔軟に対応いたします。マーケティングや顧客理解に課題をお持ちの方は是非お気軽にご連絡ください。

今後もこのブログではマーケティングについてのよもやま話をしていきたいと思いますので、宜しくお付き合いください。

常務取締役  塚野 征彦