コプロシステムのグループ会社であるCGM Japan、CGM Goldenlandではミャンマーの人材に活躍してもらう場を提供するべく、オフショア開発や日本企業へのミャンマー人材の紹介等を行っています。
日本で働きたい、日本でキャリアアップしたいミャンマー人材と日本企業が出会う機会を増やすため、2020年にはMyanmar-Japan Career Success Network(MJCSN)というコミュニティを立ち上げました。今回はこのMJCSNについてご紹介します。
日本で働きたいミャンマー人と日本企業をつなぐMJCSN
MJCSNとは、日本で働きたいと思っている、または既に日本で働いているミャンマー人のより良いキャリア構築を支援し、ミャンマー人の採用を希望している日本企業とつなぐことを目的としたコミュニティです。現在は日本で働きたい、キャリアアップしたいミャンマー人の方に向けた情報発信と、ミャンマー人の採用を希望している日本企業への採用サポートを行っています。
そもそもの始まりは、ミャンマーでは大学進学率は約15%と非常に狭き門であるにも関わらず、卒業後に企業への就職ができる学生はわずか約10%という現実を知ったことでした。専門的な勉強をしたにも関わらず、その知識を活かした仕事ができないのは残念なことです。大学を卒業した後、その知識は活かさずに技能実習生として日本に来ている人もいるようです。
自分の専門性を活かすために、より良いキャリアを構築するために日本を活躍の場として選択肢に入れてほしい。また、労働力不足に悩む日本の企業にも、優秀なミャンマー人と出会える場を作りたい。これが、MJCSNの根本的なビジョンです。2020年2月には、実際にミャンマーの17の技術大学や外国語大学で説明会をさせていただきました。
ミャンマー人が日本に来て就職する場合、どうしても「就職する」ことがゴールになってしまう人が多いのですが、そうではなく、より長期的なビジョンを描き、より良いキャリアを構築してほしいと私たちは考えています。
その一助となるためには求人情報だけでなく、日本の企業文化や生活情報、日本文化についてもより深く知ってもらい、理解してもらうことが重要だと考え、コミュニティ内でのコンテンツ発信を行っています。
コンテンツの企画・制作は、コプロシステム内に設置したミャンマー人・日本人の社員の合同チームである「MJCSN推進室」が行っています(MJCSNの運営母体は特定非営利活動法人スプリング・ウォーターですが、株式会社コプロシステムと株式会社CGM JAPANが共同運営者として参画しています)。
MJCSNのコンテンツ発信
活動は主にMJCSNのWebサイトを中心に行っており、採用サポートなども行うため登録必須の会員制サイトとして運営しています。
ただ、他の東南アジアの国々と同じく、実はミャンマーも非常に広くFacebookが活用されている国で、お店の予約やオンラインスクール、様々なものがFacebook上で完結できるという環境にあります。日本人の方にお話しすると驚かれるのですが、なんとGoogle検索をする習慣がない人も多いとのこと。気になることがあれば、検索もFacebookで行うそうです。
そうした環境下でWebサービスに会員登録をしてもらうことは、日本とくらべてはるかに高いハードルがありますので、MJCSNでもFacebookとWebサイトを2本柱として情報の発信・MJCSNの知名度向上に努めています。
MJCSNのWebサイトやFacebook ページでは、ミャンマー人の皆さんが日本で働くために必要な情報を中心に下記のような情報を発信をしています。
① 日本の求人情報の掲載
ミャンマー人を採用したい企業をご紹介しています。
ミャンマー人を採用したい場合、企業はFacebook等に職種や給与などの簡単な求人情報のみを掲載し募集するということがよくあるのですが、それでは表面的な情報のみしか頼りにすることができません。もし、自社よりも給与が高い企業がほかにあれば人材がそちらに流れてしまいます。
MJCSNでは、より具体的な仕事内容や企業の風土、研修制度についてなど、複数回にわたる記事で丁寧に伝えることで、その企業をよく知って応募してもらえるように工夫しています。
日本人の新卒採用ではこのように丁寧な企業紹介を行うのは一般的ですが、外国人採用については、まだそうではない現状があります。ミスマッチを防ぎ、より質の高い採用を行うことができるよう取り組んでいます。
② 日本での就職や暮らし役立つコンテンツの配信
ミャンマー人の方々に有益なコンテンツを記事または動画の形式で配信しています。
日本に来る前の情報収集に使ってもらったり、就職活動のときの参考にしてもらったり、もう日本に住んでいる人の生活がより快適になったり、ということに寄与できるよう、MJCSNのサイト上では「ビジネス」「くらし」「文化」「学び」の4つのカテゴリーで展開しています。
真面目すぎると目を止めてもらいづらいですが、ただ面白く、SNS上でバズれば良いというわけではありません。面白いと思ってもらえると同時に、役に立つコンテンツであるべきだと思いますし、継続的にチェックして自分の長期的なキャリアプランを考えるきっかけにしてもらうことが目標です。
現在は、ミャンマー人スタッフセレクトの日本のニュースをミャンマー語で紹介しキーワードを勉強するコンテンツのほか、ライブ配信を行ったり、ミャンマー人の間でも人気のあるインフルエンサーの方を仲間に迎えるなど、よりリアルな日本を伝えられるよう様々な発信をしています。
③ イベントの開催
これまでご紹介した「求人情報の掲載」と「コンテンツの配信」はMJCSNから会員への一方的な情報発信となりますが、MJCSNは「メディアサイト」ではなく、「コミュニティ」を目指しています。そのため、会員と相互にコミュニケーションをとる場として、月に数回程度オンラインイベントを開催しています。
例えば、日本で採用を担当している人事担当者と直接話せる会、日本で働いているミャンマー人に質問できる会など、これから日本で働きたいと思っている方々がリアルな声をきいて参考にできる機会として参加していただいています。
現在はコロナ禍の影響もありオンラインイベントのみですが、いずれは対面で顔を合わせてコミュニケーションをとれる場なども設けていきたいと考えています。
ミャンマー人に寄り添うコミュニティに
ミャンマー人スタッフと日本人スタッフの協力により、2021年5月の時点は5000人程度だったFacebook のフォロワーは、2021年11月24日時点で26,000人を超すまでになりました。MJCSNサイトの会員数も順調に増えてきています。
日本以外の文化圏に対して情報発信をしていく上で、どのようなコンテンツをどこでどのように見せていくのが効果的なのか、チャレンジの毎日です。日々試行錯誤を繰り返しながらノウハウを蓄積しています。
2020年3月にMJCSNを発足後、新型コロナウイルスの感染拡大、またミャンマーでは2021年2月にクーデターが起こるなど様々な壁もありましたが、日本で働きたいと希望しているミャンマー人の方々は増えているという実情もあります。
今後も引き続きミャンマー人の方々に、またミャンマー人を採用する企業に寄り添うことで、日本で就職したいときの第一歩として活用いただけるコミュニティになれるように、またミャンマーでのマーケティングの第一人者となれるように取り組んでまいります。
(MJCSN推進室 吉田史香)