我々は近年「ミャンマー」を中心に様々な海外事業を展開しております。そんな中、タイトルにもある通り、周りから「なぜメインターゲットがミャンマーなのか?」という質問をよくいただくようになりました。今回はミャンマーで事業を展開するに至ったその経緯についてお話していきたいと思います。
中国での失敗
ミャンマーで今の事業展開をしているのには、大きく2つの要素があります。ひとつ目に、「中国での新規事業立ち上げの失敗」という教訓があります。
我々はグループ会社として株式会社CGM JAPANを設立しており、ミャンマーの他に、香港・上海にもCGMグループの拠点があります。このように中国へも拠点を構えた背景としては、まさしく中国での事業展開のためでした。
当時、日本が不景気である影響より、「自分たちの商材を中国で売りたい」「海外進出したい」という企業の声を多く聞きました。我々は、そのサポートを果たしたいという思いから、中国での新規事業展開を目指していきました。具体的には、日本ブランドの商業施設を作ろうという計画を推し進めており、7割方スキームもできあがっていたところでした。そんな時、尖閣諸島問題が起こりました。安倍首相の靖国参拝を受け、中国全体の反日感情が強くなってしまい、この挑戦は失敗してしまいました。
この出来事を受け我々は、海外のマーケティングサポートをする際は、”カントリーリスク”を念頭に置き、あらかじめ問題が起こった時のためのリスクヘッジを考えておくべきであったという教訓を得たのです。
また当時私は、中国に住んで現地の人と直接やり取りをしながら事業を進めていました。自分自身、中国のことなら理解できている、「中国のことは何でも聞いて」と思っていた程でしたが、実際はまだまだ中国の人・国について知るということについては十分ではなかったのだと思います。海外で事業を展開していくには、現地のことをかなり深く理解する必要があるということも同時に学びとなりました。
IT人材を求めて
そして二つ目が、「IT技術者不足の解消」という部分です。日本ではIT技術者の不足傾向が顕著になってきていますが、当社では、開発リソースを海外で確保することにより、サービスをより早くクライアントへ提供していきたいという思いがありました。
この第一歩として、我々はベトナムにてオフショアを試みました。ベトナムの技術者に日本へ来てもらい、自社サービスQ-PASSの開発を始めたところ、不足しているIT技術者を海外人材で補うという一次目標は達成されました。
一方で、我々は当時ベトナムでは既にオフショア会社が成熟しているという状況を目の当たりにしました。日本からの企業としてこれから新規参入をするには”時すでに遅し”と判断したと同時に、更にその先のステップを考えても、現地で法人活動もなくいきなりマーケティング事業を行うことは、先に述べた中国での経験上考えても無謀だと感じたのです。
そんな時、同じく東南アジアのミャンマーでは、現地の法人でオフショアを展開している企業がまだなく、現地でオフショアをやるには日本の企業の参入が必要であるという話を耳にしました。ミャンマーであれば我々が現地法人設立をしても将来の可能性はあると判断し、私はミャンマーの地へ足を運びました。
最初はなかなか適した人材に巡り合えないと感じていた頃、日本にて10年以上IT企業で働き、開発はもちろん、経営について熟知しているミャンマー人の方との出会いがありました。「彼と一緒ならやれるかもしれない」と、まずはITから始めようということで、ミャンマーに現地法人としてCGM GOLDEN LAND社を設立し、当時ベトナム人にて実施していたQ-PASSの開発拠点をミャンマーに移管することに成功しました。
結果としてこのミャンマーラボでのオフショアは、日本での人材不足の継続的解消に繋がりました。現在、海外人材の力を借りることで、よりスピーディにサービスを提供していくという目的も達成されています。今後は社外のオフショアを受けることも念頭に、継続していくつもりです。
ミャンマーの可能性
来日するミャンマー人の中には、起業を目指している人たちも多数いますが、 例えば彼らがだいたい5年~10年日本で頑張った後ミャンマーに帰り、日本のサービスを現地で広めていく。こういった流れが出来ることによって、中国で経験した「現地のことを知らない人間がマーケティングをやる」ということではなくなってきます。現地のことは勿論、日本のサービスどちらも熟知している人が、現地でそれを広げていく、ということになるためです。
ミャンマーには大変優秀な若者が多くいますが、そんな中、彼らには職に就く機会が十分に与えられておらず、国として人材が余ってしまっているという深刻な状況があります。
私はこの状況を目の当たりにし、我々にとって、日本の業務をミャンマー人材に担ってもらうというビジネスモデルは必要だろうと確信したと同時に、やはり日本に来た海外人材が労働力としてだけではなくて、プロフェッショナルになってくれなければいけない。キャリアを積んでスキルアップしてもらう。そういうことを含めて人材育成することが必要であると考えたのです。こういった背景により我々は、「海外人材のキャリア育成」というジャンルでの挑戦も始めていきました。
中国での経験含め、海外での事業展開を目指し様々な挑戦を続けて来ましたが、その中でも最終的に、私を”ミャンマー”に注力しようという思いにさせたのは、やはりミャンマー人の皆でした。現地の人々と交流していく中で、彼らの勤勉で真面目な様子に可能性を感じ、一緒に成長したいという思いが強くなっていきました。そして非常に大きなことですが、ミャンマーという国自体に対しても、良い方へ発展していって欲しいと思っているのです。
今でもCGM Golden Landの役割はオフショアがメインですが、次はEC事業の分野として、BPOの拠点も設けようと思っています。また今後の展望として、現在我々で運営をしているミャンマー向けコミュニティー(Myanmar-Japan Career Success Network)としては、先に述べたキャリア育成を通して、”教育”ということをテーマに活動していきたいと考え進行していたりと、我々のミャンマーに対する挑戦は、まだまだ続いていきます。
(代表取締役社長 金田 浩邦)